
『そんなに傑作ですか?』
メイントリックのアイディア自体は巧いと思いますし、それを成立させる為に事件を戦前に設定した点は、よいと思いますが・・・そんなに傑作ですか??
個人的にはミステリは主に謎に満ちた出来事を解明する事で、解明者である探偵や策謀者である犯人の人間性を浮かび上がらせていくモノだと思っています。犯人が奇抜なトリックで自己保全を目論む・・・トリックが奇抜であればあるほど、それを実行する犯人の人間性が重要になってくる。「なるほど、こういうひとなら、こうした事をするのは、納得できる」と読者に思わせる事が重要でそれこそ、書き手の腕の見せ所ではないでしょうか?そうした観点で言うとこの作品あまりに犯人の印象が薄い。自分には、こうした犯罪を侵す人間にどうも思えてこない・・・・
もっとも、犯人の印象が薄いのは、二三の例外を除く島田作品全体にいえること。この辺をどう考えるかで評価が別れるでしょう。